治療例

患者様よりお寄せ頂いた質問とその回答を一部ご紹介いたします。

インプラントを考えています。インプラントはチタンという金属を使うそうですが、金属アレルギーが心配です。大丈夫でしょうか?

(39歳 女性)

金属そのものは生体に対して抗原性を示しませんが、溶出してイオンとなり、アレルギー反応を引き起こすことがあります。

一般に、水銀、ニッケル、コバルト、クロムなどはアレルギー反応を起こし易く、金、プラチナ、チタンは起こし難い金属です。現在のインプラント体の材質は純チタンが主流ですが、チタン合金のものもあります。世界の学会でも純チタンのインプラントによるアレルギーの報告はほとんどありません。むしろ問題は、インプラント体そのものではなく、その上の土台やかぶせ物の金属にあり、出来ればチタンやセラミックを使用される方が安全といえます。過去に歯科治療で使用された金属などでアレルギー反応を起こした既往があれば、バッチテストやリンパ球幼弱化試験を受けられることをお勧めします。

小さな子供がいます。お母さんから赤ちゃんに虫歯がうつると聞いたのですが、本当ですか?

(29歳 女性)

虫歯(う蝕)は、お口の中にいる細菌によっておこる感染症です。赤ちゃんが生まれてきた時にはこの細菌は口の中には存在しません。生後、お母さんの口から感染するのです。哺乳瓶のミルクが熱いかどうかを調べるため口を付けて飲んでみたり、離乳食などを少し噛み砕いたり、味見したり・・・こうしてお母さんの口の中の細菌が赤ちゃんの口の中に移り住んでしまいます。この細菌の中で、う蝕を引き起こすものはミュータンス菌やラクトバシラス菌と呼ばれ、4歳くらいまでに口腔内に定着してしまいます。ですからこの期間に感染に気をつければう蝕になりにくくなるのです。虫歯菌だけでなく歯周病菌も早産や低体重児出産の原因になります。予防には、口腔ケアとともに虫歯や歯周病の発症のメカニズムを知ることも大切なことです。

歯周病の治療で“再生治療”という方法があると聞いたのですが・・・

(46歳 女性)

歯周病の治療の目的は、歯周ポケットを無くして、細菌を減らし、歯を支えている歯周組織の破壊をくい止めることです。

歯磨きや歯石を取り除くだけの治療では、初期の歯周病は治りますが、中等度〜重度のものになれば、歯を支えている骨のデコボコが改善されず、深いポケットが残ってしまい、再発し易くなります。結果として、歯を失ってしまいます。歯そのものの再生は、未だ出来ませんが、歯を支えている骨を増やすことは出来るようになって来ました。骨のデコボコをなくし、ポケットを浅くして健康な状態に蘇らせる方法が“(歯周組織)再生治療”なのです。

今まで抜かなければならなかった歯もこの“再生治療”で保存できるようになりました。

以前、前歯を打ってそのままにしておいたのですが、最近、歯の色が黒っぽく変色して来ました。治るのでしょうか?

(37歳 女性)

外傷による歯の着色・変色の原因は、歯の中を流れる血流の遮断による血色素の沈着によって起こります。
歯そのものの破損の状態(破折など)や歯を支えている歯周組織のダメージを改善し、適切な根管治療(根っこの治療)を行った後に、歯の内部から漂白すれば、歯の着色は改善され元通りの白い歯に戻ります(ウォーキングブリーチと呼びます)。
また、最近では、歯を白くする“ブリーチング”も注目されています。これは、歯の内部から漂白するのではなく、歯の表面に薬剤を塗布することで、歯を白くすることが出来ます。いずれにせよ、白く輝く美しい歯は、魅力的です。

ブリッジかインプラントの選択を迫られています。意見をください。

(46歳 女性)

歯を失った時に、だれもが取り戻したい事は、“しっかり噛める”事と“見た目の自然さ(審美性)”です。また、“使い心地が良い”“長持ちする”事も大切です。それぞれの長所・短所を十分に理解した上で、自分にあった治療法を選びましょう。
ブリッジは固定式できっちり装着されていれば、違和感なく、入れ歯と比べ、しっかり噛むことができます。短所は、失った両隣の歯を削らなければなりません。
削った歯とのスキ間から細菌が入り込み虫歯や歯周病を再発する危険が伴います。
インプラントは、健康な歯を削る必要がなく、しっかりと固定され、口の中の清掃がしやすく、歯周病の再発を防ぎやすいのが利点です。あごの骨が弱く、インプラントに耐えられない場合もあります。しかし、最新の再生技術で骨や歯ぐきを増大してインプラントを埋入することも可能になってきました。

私の母は、若い時から、入れ歯を使用しています。歯を失う原因を教えて下さい。

(45歳 女性)

歯を失う原因は、虫歯や歯周病(歯槽膿漏)がほとんどで、その他、外傷等が考えられます。また、年齢によっても異なり、30歳前半までは、約60%が虫歯により歯を喪失し、35歳からは、急激に歯周病による喪失率が増加し、約70%、そして、50歳以降になると約80%が歯周病によって歯を失ってしまいます。そして、歯を失った後、咬み合わせや見た目を再建する為に前後の歯を削ってかぶせて繋ぐブリッジや、着脱式の入れ歯が用いられます。
これらの方法の欠点として、残った歯に力学的な加重負担を強いたり、清掃がしにくい口腔環境を人為的に作成してしまいます。その結果、虫歯や歯周病のリスクが更に高まり、次の歯を失うことになってしまいます。
こういう悪循環を脱する為、最近ではインプラント(人工歯根)が普及して来ました。残存歯に負担をかける事も無く、清掃もし易く、見た目も天然歯の様に再生できる、アンチエイジング治療です。

歯の磨き方等で日々できる歯周病の予防法を教えてください。

(40歳 女性)

予防を考えるには先ず、どうして歯周病が起こるのか、その原因を理解する事が大切です。歯周病の主たる原因は細菌で、その住処がプラークなのです。ですからそのプラークを取り除けば良いのです。歯茎から上の見える部分のプラークは患者様、見えないポケット内は歯科医院でなければ除去できません。歯茎から上のプラークが残ったままだと、歯茎に炎症が起こりポケット内の細菌のエネルギー源になってしまい歯周病が進行してしまいます。
毛先の小さなブラシや歯間ブラシ、フロス等を使って一歯づつ丁寧に磨く事がポイントです。また、音波ブラシの使用も有効です。
楽々、簡単、長続きできるブラッシングの“こつ”を歯科医院で教えてもらいましょう。

インプラントはどんな人にもできますか?

(55歳 男性)

インプラントができない場合には、2つの原因が考えられます。      
1つは、内科的疾患により手術が困難とされる場合。通常のインプラント手術は、抜歯と同程度の手術侵襲です。内科医と対診・相談し、適切なコントロール下では、ほとんどの手術は可能となります。もう1つは、歯科医の技術的な問題があります。歯を失う事で顎骨や歯ぐきは吸収されます。その程度によっては、インプラントを維持・固定する事が不可能となってしまいます。近年、歯周組織再生の技術が進歩し、骨増大術(GBR法)やサイナスリフト法、歯肉増大術等が確立されてきました。これにより顎骨が少なくなったケースでもインプラントが適応可能になりました。

以前より口を開けると”パキッ“と音がしていたのですが、ある朝、急に口が開きにくく痛みも感じるようになったのですが・・・

(34歳 女性)

“顎関節症”の疑いが濃厚であると考えられます。“顎関節症”とは、顎の関節や咀嚼筋の疼痛、関節雑音、口が開きにくい、顎が動きにくい、等の症状が伴う疾患です。
その直接的原因はメカニカルストレスで“かみ合わせ”の不調和などによって発症する場合がほとんどです。
多くは、通常、数週間で症状が軽減して来ますが、症状が改善されたからといっても、実際には、病態が悪化していることもよくあります。
歯科医院を受診され、メカニカルストレスを取り除くと共に、それを増大させる誘因を明確にして、的確な発症メカニズムの診断をお受けになられた方が良いと思われます。

入れ歯やブリッジよりインプラントの方が歯の健康にとって良いと聞きましたが、インプラントはどの位もつのでしょうか?

(44歳 女性)

現在の主流のインプラントは純チタン製でとても丈夫ですので、何か問題が起こらなければ半永久的にお口の中で機能します。その問題とは、プラーク(歯垢)中の細菌による炎症性の破壊と、かみ合わせの力による力学的破壊があります。

インプラントを長期的に維持・機能させるために、術前には、歯周病(歯そう膿漏)の処置をしっかり行って炎症のないお口の環境を作り、お口全体のかみ合わせをも十分に考えたインプラントの手術を行うことが必須です。

治療後は、毎日の歯磨きと、必ず定期健診・メインテナンスを歯科医院で受けることが大切です。

こうすれば、インプラントのみならず、お口全体の健康も維持されます。

歯周病だから歯を何本も抜かなければならないと言われたのですが、抜かないと
どうなるのですか?

(40歳代 / 女性)

御自身の歯を一度に何本も失うのは、精神的にも、とてもつらい事です。しかし、要抜去歯をそのまま放置すれば、周囲の骨がさらに喪失してしまい、その結果、来るべき修復処置(入れ歯、ブリッジ、インプラントなど)に大きな障害をもたらしてしまいます。
具体的には、機能的にも噛みにくくなったり、審美的にも十分に満足の得られないものとなってしまいます。
また、歯の位置異常や、かみ合わせの不調和をきたし、顎関節症や全身的疾患の
誘因になってしまうこともあります。
しかし、近年、歯周組織再生療法など治療技術の進歩もあり、今まで保存不可能
とされていた歯も、時には、抜かずに治療できるようになってきています。